在庫管理に適したスプレッドシートの機能
まずは、在庫管理に適したスプレッドシートの機能について、以下4点を説明します。
- プルダウン機能
- 関数
- ピボットテーブル
- テンプレートの利用
プルダウン
1つ目は、プルダウン機能です。
プルダウン機能では、セル上であらかじめ設定したリストから項目を選択することができます。例えば、商品リストをあらかじめプルダウンメニューとして設定してている場合、商品名のセルをクリックするだけで、関連する商品名がリストとして表示され、必要な商品名を選択できるのです。
特定の商品名を忘れてしまった際や、リストの数が多い場合にも、プルダウン機能が有効です。セルをクリックすれば、該当する候補が選択肢として表示されます。これにより、誤入力のリスクが減少し、作業スピードも向上するでしょう。
スプレッドシートのプルダウン機能は、在庫管理作業を簡素化し、効率的にデータ入力を行うための強力な機能です。
関数
2つ目の機能は、関数です。
スプレッドシートでは、Excel のように関数を使うことができます。ここでは、在庫管理に適した主な関数を4つ紹介します。
- VLOOKUP
指定した値に対応する情報を検索・取得する関数です。在庫管理では、商品コードを元に関連する商品情報や価格を引っ張ってくることができます。
- IF
条件式に基づいて、2つの異なる結果を返す関数です。在庫管理では、在庫数が一定の数値以下になったら「再発注が必要」といったアラートを表示できます。
- SUMIF・SUMIFS
条件に一致するデータの合計値を計算する関数です。在庫管理では、特定の商品在庫数の合計や、ある期間内の出荷数を計算することに役立つでしょう。SUMIFS は複数の条件を指定できます。
- ROUND
指定した桁数で数値を四捨五入する関数です。在庫管理では、正確な数字や金額を提示する際に、小数点以下の数値を適切な桁数で丸めるために利用できます。
上記関数を組み合わせることで、在庫の状況や動向を瞬時に把握し、予測や分析も容易に行えるでしょう。
ピボットテーブル
3つ目の機能は、ピボットテーブルです。
ピボットテーブルは、大量のデータを容易に集計・分析・表示するための機能です。
在庫管理業務では、商品別の在庫数やカテゴリ別の売上データなど複雑なデータを一覧で見るときに、手作業での集計作業が必要となることも多く、時間と労力がかかります。
そのような場合、ピボットテーブルを使えば、ドラッグ & ドロップの簡単な操作で、必要なデータを選択し、集計や分析を行えます。特定の期間に最もよく売れた商品や、在庫が不足している商品を一目で確認できるのです。
また、グラフやチャートも簡単に作成可能なため、在庫の動きや販売トレンドを視覚的に捉え、即座に戦略的な決断をすることにも役立ちます。
ピボットテーブルは在庫管理において、大量のデータを迅速に、そして正確に分析するためにも必須の機能です。
テンプレートの利用
4つ目は、テンプレートの利用です。
インターネット上には、在庫管理に適したスプレッドシートのテンプレートが数多く公開されています。
テンプレートを活用する最大のメリットは、複雑な設計やレイアウトの手間を省略できる点です。基本的なカテゴリーや項目、計算式などが事前に組み込まれているため、ユーザーはデータを入力するだけで、瞬時に在庫状況を管理・分析できます。
テンプレートの多くは無料で提供されているか、あるいはリーズナブルな価格で購入できるため、低コストで効率的な在庫管理を実現可能でしょう。
在庫管理をスプレッドシートで行うメリット
在庫管理をスプレッドシートで行えばどのような利点があるのでしょうか。ここでは、以下3点のメリットについて紹介します。
- コスト削減
- カスタマイズが容易
- API 連携が可能
コスト削減
1つ目のメリットは、コスト削減です。
専用の在庫管理システムは機能が優れているものの、導入費用や運用コストが発生します。企業によっては、かなりのコスト負担となるかもしれません。
スプレッドシートで在庫管理を行えば、コストを削減しながら運用できます。なぜなら Google スプレッドシートは無料のオンラインサービスのため、費用発生することなく利用開始できるからです。
スプレッドシートを使用することで、在庫管理に必要な機能を低コストで利用でき、導入費用・運用費用の点でもメリットが大きいです。コストを削減することは、今後のビジネス強化など企業の持続的な成長にも繋がるでしょう。
カスタマイズが容易
2つ目のメリットは、カスタマイズが容易なことです。
スプレッドシートは、基本的にフリーフォーマットです。そのため、担当者が自由にデザインや構成を変更できます。例えば、新たな商品カテゴリーの追加、特定の期間のデータ分析のための列の追加、または独自の計算式の実装など、ビジネスの状況や要件に合わせてテーブルやグラフをカスタマイズすることも簡単です。
スプレッドシートに搭載されている豊富な関数やピボットテーブルなどを活用すれば、独自の計算や分析、予測などの高度な機能も自在に組み込めます。企業は、特定のニーズや特性を反映した、在庫管理を実現できるでしょう。
API 連携が可能
3つ目のメリットは、API 連携が可能なことです。
API とは、システムやアプリケーション間でデータや機能を共有するためのインターフェースです。Google スプレッドシートは、 API を利用して外部のシステムやアプリケーションと連携できます。
例えば、受発注システムのデータをスプレッドシートに自動で取り込んで、リアルタイムに在庫情報をスプレッドシートに連携するなどがあります。また、売上・出荷・返品などのデータを同期すれば、分析も容易です。
API 連携の導入により、在庫管理をより効率的、迅速に行えます。
在庫管理を成功させるスプレッドシートの活用ポイント
在庫管理を成功させるための、スプレッドシートの活用ポイントを3点紹介します。
運用ルールの策定
在庫管理をスプレッドシートで行う際、まず、いつどのような時にどの内容を更新するのかなど、明確な運用ルールの設定が必要です。
誤入力や二重入力があった場合、それを速やかに検出・修正するための運用方法を定めていれば、データの整合性を維持できる可能性が高いです。
また、特定の担当者やグループがスプレッドシートの更新を担当する、と定めることで、誤入力や編集ミスを抑えられます。更新の際の注意点や手順、エラーが生じた際の対応フローなども詳細に明記することで、スムーズな運用を実現します。
スプレッドシートを在庫管理ツールとして最大限活用するためには、明確な運用ルールの策定が欠かせません。
基本機能の理解
在庫管理をスプレッドシートで行うときは、スプレッドシートの基本機能を理解することも重要なポイントです。
スプレッドシートは、単に行と列のグリッド上にデータを入力・整理するためのツールだと思う方も多いでしょう。それだけでなく、数式や関数を用いてデータの計算や分析、グラフ作成、データのフィルタリングや並べ替え、セルの書式設定といった豊富な機能を持っています。
これらの基本的な機能を理解することで、在庫増減を自動計算し、在庫が不足している商品をすぐに確認し対応できるようにする、といった高度な運用が可能です。
スプレッドシートの基本機能を理解することで、データの入力から分析、可視化まで、一貫してスムーズな作業が可能となり、在庫管理の精度と効率を大幅に向上できます。
連携機能の理解
在庫管理をスプレッドシートで行うとき、連携機能の理解も重要なポイントです。
スプレッドシートには、他のアプリケーションとの連携ができる API が搭載されています。例えば、在庫が一定量を下回った際に、自動的に関連部署や担当者へ在庫状況を報告するといったメール送信も可能です。これにより、迅速な再注文や対応が可能となり、在庫切れのリスクを最小限に抑えられます。
また、外部サービスとスプレッドシートのデータを連携させることで、より高度な分析や作業の自動化も実現できます。
スプレッドシートで在庫管理を最適化するためには、単なるデータ入力ツールとしての利用に留まらず、連携機能を理解することが大切です。
在庫管理をスプレッドシートで行いたいなら、Google Workspace を活用しよう
本記事では、在庫管理に適したスプレッドシートについて、機能・メリット・成功するためのポイントを紹介しました。
スプレッドシートには、プルダウンメニューや関数を始め、ピボットテーブル、API 連携、テンプレートなど、在庫管理に適した機能が豊富に搭載されています。基本機能と連携機能をしっかりと理解することで、在庫管理のデータを分析して、業務効率化をはじめ、企業のビジネス戦略などにも役立つでしょう。
Google Workspace では、スプレッドシートの利用はもちろん、Gmail などGoogle の他の各機能と連携も容易にできます。業務全体を効率化するためにも役立ちますので、一度活用してみてください。
スプレッドシートでの在庫管理の応用編で、AppSheet で在庫管理アプリを作る方法を紹介しています。
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