Cmosy(クモシィ)Googleドライブ まるわかりコラム

Google Workspace ユーザー向けファイル共有サービス
Cmosyはなぜ生まれたのか?

弊社が開発・運用を行っているCmosyというサービスがあります。

このサービスは Google Workspace ユーザー向けのファイル共有サービスで、2015年からサービスが提供されています。

元々、放送局向けのサービスとして開発されましたが、現在は Google Workspace を利用する全ての企業がターゲットになっています。
一体なぜCmosyというサービスが生まれたのか。今回はCmosyというサービスが生まれた経緯について解説します。

Cmosy

 


シャドーITの撲滅がCmosyの始まり

共同開発元のテレビ局では、現場のユーザーが社外とのファイル共有にフリーのファイル共有サービスを使っていることに大きな懸念がありました。送信したあとのファイルの行方や誤送信等、データ漏洩が発生するリスクを常に存在するからです。

これらの課題を解決するためにCmosyの開発プロジェクトがスタートしました。

ユーザーが利便性を重視するのは自然な行動

現場のユーザーは、自分たちのミッションを達成するために日々働いています。
そのため、ツールはあくまで手段でしかありません。

放送局の業務は、社内外含めて多くの人間が関わっており、日々多くのファイルが共有されています。
ユーザーとしては、より効率的なツールを利用するのは自然な行動と言えます。

フリーのファイル共有サービスが利用されてしまう原因をユーザーに委ねるのは建設的な解決策にはなりません。

そのため、情報システム部門は、ユーザーに対して利便性も含めて適切なツールを提供する必要があります。

Google Workspace の導入によってベースのセキュリティを強化できる

開発元の放送局では、ファイルの社外共有の問題とは別に「社内業務の効率化」も一つの課題として抱えていました。
その問題を解決するために検討されたのが Google Workspace の導入です。

Google Workspace はメール、ストレージ、カレンダー等、基本的なグループウェアの機能を備えていますが、一番の強みはコラボレーション機能の充実です。多くの人間が業務に携わる放送局では、このコラボレーション機能が大きな力を発揮します。

そして、 Google Workspace を導入することで、以下のような恩恵も受けることができます。

恩恵 詳細

ファイルのクラウドへの集約

ストレージサーバーに Google ドライブを採用することで、

ファイルの保存先がクラウド上に集約される。

セキュリティポリシー

Google Workspace のセキュリティポリシーにより、

Google ドライブ上のファイルに対する社外共有に制限をかけることができる。

これにより、ユーザー全体に対して「ファイル共有」に制限をかけることができます。
つまり、ユーザーが Google ドライブ上のファイルを社外に共有することを禁止にすることができます。

しかし、ファイルの社外共有が禁止にされてしまうと、日々の業務に影響が出てしまい、生産性の低下とシャドーITの乱立を招いてしまう危険性があります。

そこで Google Workspace のセキュリティポリシーを保持した状態で、ファイルの社外共有を実現する仕様の検討がスタートしました。


セキュリティを保持した状態でファイル共有を実現する

Google Workspace のセキュリティ設定は非常に強力な仕組みです。

この仕組みを活かしながらファイル共有を行う仕様について議論がスタートしました。
まずは Google ドライブ、及び Google Workspace のセキュリティ設定の仕様理解が一番の肝であるため、長時間をかけて検証と議論を重ねていきました。

この仕様にたどり着いた経緯については、話が長くなりすぎてしまうため、今回は説明を割愛させていただきます。たどり着いた結果が、現状の以下のような仕様になっています。

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Cmosyのプロジェクトマネージャーは、共同開発元の放送局に所属する方でしたが、後にも先にもここまで仕事に情熱を持って取り組む人に会ったことがありません。

Google Workspace の仕様を誰よりも調べ尽くし、検証し、現在のCmosyの仕様にたどり着きました。

仕様については詳細を説明することはできませんが、Cmosyはプロジェクトマネージャーの情熱によって生まれたサービスであることは間違いありません。


Google Cloud Platform をベースに開発した理由

弊社、吉積情報株式会社は設立以来 Google クラウド関連のサービスを自社開発も含めて提供しています。

Cmosyのサービス基盤に Google Cloud Platform を選択した理由は、会社自体が Google クラウドを専門としていることもありますが、実は他にも理由があります。

Google クラウド内の転送速度の速さ

Cmosyのユーザーがファイルを送信する場合、 Google クラウド内のサーバー間でファイルの転送が発生します。

同一リージョン内でファイルの転送を行っていることも一つの理由ではありますが、ベンチマークを取った結果、非常に高いパフォーマンスを計測することができました。

お客様の Google Workspace とそれを繋ぐCmosyのシステム基盤に Google Cloud Platform を採用することで全てのデータ通信が Google クラウドに集約され、非常に高いパフォーマンスを実現することができました。

Amazon Web Service を採用した場合、Google Cloud のネットワーク外のインターネットを抜けていくため、ここまでのパフォーマンスは見込めなかったと考えられます。

サービスのモニタリングをGCPに集約できる

Cmosyはシステム構成として Google Workspace のサービスをフル活用するサービスになっています。

Google Cloud Platform の管理コンソールでは、Google Workspace のAPIの管理も同時に行うことができるため、全てのクラウドリソースの監視を Google クラウドの管理コンソールに集約することができます。

地味ではありますが、運用上非常に強いメリットを感じています。


現在のCmosyの実績

当初、Cmosyは放送局向けのサービスとして認知されていましたが、現在は Google Workspace を活用する全ての業界のお客様に利用されています。

ファイルの共有はどのような業界でも必ず発生する業務の一つであるため、 Google Workspace のセキュリティをより向上させたいお客様にとってニーズの高いサービスになっています。

Cmosyの導入実績ロゴ

特にPPAPの代替サービスとしての需要が高まっており、多くの問い合わせをいただいております。
PPAPとは以下の略語で、暗号化されたzipファイルとパスワードを別々に送信することでファイルのセキュリティを担保するというファイル共有方式です。

  • Password付zip暗号化ファイルを送ります
  • Passwordを送ります
  • A号化(暗号化)
  • Protocol

ただ、「実際は同一相手にファイルもパスワードもメール送信することになる」、もしくは「zipの暗号化を解除するのは難しくない」という理由から、現在は多くの企業がPPAPの運用を廃止する方向で動いています。

CmosyではPPAPを回避する方法も提供することができるため、非常に需要が高まっています。


まとめ

Cmosyは元々、放送局向けに開発されたアプリケーションでしたが、2015年からは吉積情報が提供するアプリケーションとして一般リリースされ、現在は Google Workspace を導入する全ての業界のお客様にご利用いただいています。

一つの放送局向けに開発されたアプリケーションが、現在では Google Workspace のセキュリティ向上を行うための一助になっていることは、弊社としては非常に嬉しく思っています。

今後は、 Google Workspace の拡張サービスとしてさらなるアップデートを続けていく予定です(※1)。

※1 Cmosyは2022年に Google Workspace のアドオン化を目指しています。 Google ドライブからシームレスにCmosyを利用できるようなアップデートを予定しています。

森田 嶺

著者

森田 嶺
吉積情報株式会社 取締役 副社長。 大学卒業後、サーバーサイドエンジニア等の経験を経て、YOSHIDUMIに入社。Google ドライブ拡張サービス「Cmosy」「共有ドライブマネージャー」等、自社サービスの開発に従事。現在、Google Bard (グーグルバード)に関する記事を定期発信中!

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