導入事例
JT生命誌研究館 様
研究現場のDXを推進:JT生命誌研究館が語る Gemini for Google Workspace の可能性
JT生命誌研究館 様
- 業種
- 研究職
- サービス
- Google Workspace、Gemini for Google Workspace
- 企業規模
- 11-99名
JT生命誌研究館(株式会社生命誌研究館)は、大阪府高槻市にある、1993年に設立された生命科学の研究機関です。「生命誌」という独自の視点から、38億年前に誕生したひとつの細胞から続く、生命の進化の歴史と多様性を遺伝子解析などを通して解き明かしています。最先端の研究成果を、「生命誌絵巻」などのユニークな展示や、季刊誌「生命誌」を通してわかりやすく発信し、来館者一人ひとりが生命の不思議を感じ、考えるきっかけを提供しています。
そんな最先端の研究現場では、日々膨大な量のデータと格闘しています。
今回、JT生命誌研究館 研究セクター 研究員(室長) 尾崎 克久 様にお話を伺いました。
2024年12月掲載
これまでのファイルサーバー管理体制からの脱却
- Google Workspace 導入前の課題についてお聞かせください。
以前は、社内のファイルサーバーやネットワークインフラの管理を外部の企業に委託しており、1人のエンジニアの方にすべてを管理していただいていましたが、その方が定年退職されたため、契約を継続することができなくなってしまいました。新しいインフラ会社と契約できたものの、今度は社内で利用していたファイルサーバーの移行が課題として浮上しました。当館では、研究用の動画コンテンツや遺伝子解析データといった大容量ファイルを取り扱うことが多く、部署間や外部の共同研究者と日々数TBものデータのやり取りが発生していたためです。
そこで、思い切ってクラウドサービスの導入を検討することにしました。これを機に、特定のエンジニアの方に依存するのではなく、会社として長く安心して運用できる体制にしたいという想いからでした。
- クラウドサービス導入にあたっては、どのような課題がありましたか?
ストレージ容量とコストに課題がありました。いくつかのサービスを検討しましたが、1アカウントあたりの容量制限や、大容量サービスには高額なコストがかかってしまいます。次世代型シーケンサーの登場により、年々巨大化する遺伝子解析やゲノム解読のデータ容量に対応できるか、という点も重要でした。以前はDVD-RやUSBメモリでデータをやり取りしていましたが、今では到底入りきらないほどのデータ量になってしまいましたので。
選定の決め手はバランスの良さと多様な活用を可能にするコラボレーション機能
- Google Workspace を知ったきっかけと導入の決め手は何ですか?
Google Workspace を知ったきっかけは、個人的に Gmail などの Google サービスを利用していて、その利便性を感じていたからです。研究者という仕事柄、いつ職場が変わるかわからないので、Gmail のようにずっと変わらず使い続けられるサービスは魅力的でした。
Google Workspace を導入した決め手は、何と言ってもストレージ容量の問題を解決できたことです。Google ドライブ は、契約したアカウント分のストレージ容量を合算して、大容量ストレージとして利用できる点が非常に魅力的でした。
- 他に検討したサービスはありますか? Google Workspace と比較して、いかがでしたか?
Google Workspace 以外にも、Microsoft 365、Dropbox、Notionなどを検討しました。Microsoft 365やDropboxはは職員が使い慣れているというメリットがありましたし、Notionはコラボレーション機能やデータベース機能が優れていて便利でした。しかし、1アカウントあたりのストレージ容量制限や、コスト面、ファイルストレージとしての活用性に課題が残りました。
Google Workspace は、これらのサービスと比べて、ストレージ容量、コスト、使いやすさのバランスが優れていました。また、研究データを1つのファイルに記録していくだけで、様々なことができる点も魅力的でした。
■ Google Workspace 導入プログラム 「MY START」サービスページ
https://www.yoshidumi.co.jp/service/service-gootorial/service-my-start
■ Google Workspace サービスページ
https://www.yoshidumi.co.jp/service/service-go-to-gws
親身な対応と高い専門性を持ったサポート体制で、自走できる心強さを得られた
- 複数ある代理店から吉積情報をお選びいただいた理由は何ですか?
吉積情報を選んだ理由は、担当者の方の親身な対応や、導入後の長期的なサポートに対する信頼感でした。これは導入時に複数社の比較検討を行った際、他社にはない吉積情報だけの特徴だと感じました。Google Workspace や導入に関する不明点について、丁寧に説明していただいたことで不安が解消され、安心して導入を進めることができると判断しました。
また、 Google Workspace のプレミアムパートナーに認定されており、GooTorial のような活用支援サービスを独自に作成するなど担当者の知識レベルの高さを感じました。問い合わせたことへの回答だけでなく、プラスアルファの活用情報を提供してもらえたことも、決め手のひとつとなりました。
- 吉積情報の導入の進め方や、サポート体制はいかがでしたか?
導入プロセスはスムーズでしたが、思っていたより自分で作業する部分が多いなと感じました。もっと代理店で作業代行してくれると思っていましたので。でも、実際にはやってみて良かったです。管理コンソールの仕組みなどを把握する良い機会になりました。
- そうですよね。弊社がすべての設定を代行してしまわないことで、最初はお手数をおかけしてしまう部分はあるのですが、導入後に「社内の情シスの方だけで自走していける支援」というコンセプトを掲げているため、そう仰っていただけて良かったです。
サポート体制は良く、スムーズに導入できました。トラブル発生時に問い合わせた際も、当日中に返信があり、スムーズに解決できました。親切な対応をいただき、今では「わからないことがない」状態になれたのは心強かったです。また、Google のサイトや資料では完全に理解できなかった点を説明してもらえた点もありがたかったです。例えば、Gemini Business と Enterprise の違いなど、自分では見つけられなかったことへの回答があったのは助かりました。
遠隔でも対面でも役立つリアルタイムな共同作業で、大幅に業務プロセスが変わった
- Google Workspace 導入後の、業務プロセスの変化と効果について教えてください
Google ドライブ で簡単にファイルを共有できることは勿論、ドキュメント や スプレッドシート を複数人で同時に編集できるようになり、全体的にとてもスムーズになりました。面白いことに、共同編集は遠隔での作業だけでなく、対面でも役立っています。会議中に議事録を共同編集することで、会議が終わった時には議事録が完成していて、全員が内容を確認済みになっているんです。時間短縮だけでなく、議事録作成の負担が軽減され大幅な業務効率化となりました。
コミュニケーション改善の面では、和歌山県のアドベンチャーワールドとの提携事業がスムーズに進められるようになりました。両社とも Google Workspace を導入しているため、Google チャット や Meet を使って、スムーズに情報共有やコミュニケーションができます。一番多く関わりのある企業ですので、Google Workspace 導入の効果は大きかったといえますね。
当初はファイルストレージとして使えればいいと考えていましたが、今では、業務効率化、コミュニケーション改善など、様々な効果を実感しており、従業員の満足度は非常に高いです。
- Google Workspace に対する満足度を10点満点で評価すると何点ですか?その理由も教えてください。
Google Workspace に対する満足度は、10点満点中9点です。オンラインで完結する使い方であれば、間違いなく満点ですね。少し減点したのは、オンサイトも含むハイブリッドイベントでの Meet の使い勝手に課題を感じているためです。 例えば、館内でイベントを開きつつ、YouTubeで配信するようなハイブリッドイベントを開催するためには Enterprise 以上のプランでないと使えない機能が必要で、現状では別の配信専用ソフトを併用しています。
Gemini を活用し、最終判断は自分の知識をベースに行うことで、数週間分の時短を実現
- Gemini for Google Workspace を導入したきっかけは何ですか?
以前からいくつかの生成AIを使っており、個人向けの Gemini も有料版を使っていました。Gemini for Google Workspace を導入した一番のきっかけは、著作権侵害補償が付帯されている点ですね。安心して使えるのは魅力的です。Gemini 1.5 pro になったことで、クオリティも高くなりましたね。
- 具体的にどのような業務で Gemini for Google Workspace を活用していますか?
論文やレポート作成、プログラミング、実験データの解析、調べものなど、様々な業務で活用しています。「信頼できる情報を基に」といった指示を出すことで、より有効な回答を得られるので、プロンプトのテクニックが重要になりますね。プログラミングでは、コードの書き方や、ターミナルで使用するコマンドを調べたり、App Script を作成する際に活用しています。実験データの解析では、生データを入れて、解析・統計処理方法を提案してもらうこともあります。数週間分の時短になっていると思います。もちろん、最終的な判断は自身の知識をベースに行っています。
■ Gemini for Google Workspace 導入支援プログラム「AI Driven」サービスページ
https://www.yoshidumi.co.jp/service/aidriven
■ Gemini for Google Workspace サービスページ
https://www.yoshidumi.co.jp/service/gemini_for_googleworkspace
内部の情報を検索し、回答してくれるサイドパネルの登場で利便性が高まった
- Gemini for Google Workspace 導入で得られた効果はありましたか?
調べものや探しものに使う時間が大幅に減りました。サイドパネルで Gemini が使えるようになったことで、さらに利便性が高まりましたね。アプリの Gemini は外部の情報を検索するのに対し、サイドパネルの Gemini は内部の情報を検索するイメージです。論文を執筆する際にも、要約やプロンプトを入力すると、内容から関連する箇所を拾って回答してくれるので、非常に便利です。
- 今後、Gemini for Google Workspace に期待することは何ですか?新機能への期待や、改善してほしい点などがあれば教えてください。
Gems のプロンプト修正機能をすべての Gemini 入力画面に搭載し、サイドパネルでも Gems を使えるようになれば、さらに便利になると思います。将来的には、先読みサポート機能が搭載されることに期待しています。例えば、文章を書いているときに「引用するべき文献はこれでしょ?」と提案してくれたり、「この実験結果のことですね?」と関連する書類を出してくれたりする機能があれば、非常に助かります。加えて、プロンプトのお手本を見せてくれるようなコンテクストメニューがあると嬉しいですね。
AI やツールに任せるところは任せて、人間はより創造的な仕事に集中する。それが、これからの時代の働き方。
- Google Workspace や Gemini for Google Workspace を活用して、今後どのようなことを実現したいですか?
今後、日本人研究者にとって負担となる、英語で論文を書く作業に Gemini を活用したいと考えています。英語ネイティブ話者に負けないくらいの効率で論文を書ける方法を探っていきたいですね。
- Google Workspace や Gemini for Google Workspace は、どのような企業におすすめですか?
Google Workspace や Gemini for Google Workspace は、すべての人、すべての研究者におすすめしたい、使わない選択肢はない存在ですね。これらのツールによって生まれる時間は莫大で、その時間にAIではできないことを人間がやったら、もっと生産性が上がると思うんです。
任せるところは任せて、人間はより創造的な仕事に集中する。それが、これからの時代の働き方なのではないでしょうか。
資料ダウンロードはこちら:Gemini for Google Workspace 資料ダウンロード
結びの言葉(吉積情報より)
JT生命誌研究館(株式会社生命誌研究館)様は、ファイルサーバーの課題解決を目的に Google Workspace を導入されました。10月に開催したオンサイトイベントでは、尾崎様から研究現場ならではの Google Workspace や Gemini for Google Workspace 活用事例をお伺いし、大変貴重な学びをいただきました。
また、撮影当日は館内をご案内いただき、誠にありがとうございました。
「生命誌」という悠久の生命の物語を探求する研究において、Gemini for Google Workspace のようなAI技術を活用される姿は、まさに人類の進化の一コマとして感慨深いものがありました。
JT生命誌研究館様の「ゲノムDNAは壮大な生命の歴史アーカイブ」という言葉は、私たち自身の存在意義にも深く響きます。同じ「アーカイブ」を持つ者として、吉積情報も未来の社会づくりに貢献すべく、日々精進してまいります。
こうした企業様にお選びいただきましたこと、ご評価いただきましたこと、とてもありがたく感じます。
JT生命誌研究館(株式会社生命誌研究館)様の、今後のご活躍の一助として Google Workspace や Gemini for Google Workspace をご活用いただければ弊社としても嬉しい限りです。
今後もお困りごとやご要望などありましたら、お気軽にご相談いただけますと幸いです。
今後とも末永くよろしくお願いいたします。
2024年12月記事作成(取材・文/吉積情報)