森田 嶺

【速報】Google Cloud Next ’25 で発表されたGoogle Workspace最新情報まとめ

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米国ラスベガスで2025年4月9日から11日まで開催されるGoogle Cloud Next '25は、GoogleのAI技術における最新の進歩が披露される一大イベント。イベント開幕の狼煙となったキーノート(基調講演)では、Google Cloud CEOのThomas Kurian氏やAlphabet/Google CEOのSundar Pichai氏らが登壇し、AIがビジネスを根本から変革している現状と、その未来像が示されました。

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とくにThomas Kurian氏の「WorkspaceのGeminiは現在、毎月20億回以上のAI アシストをユーザーに提供している」という言葉は、現在のAIの興隆を表す説得力のあるエビデンスであると感じました。

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今年も最新ニュースを現地で獲得するために、弊社(吉積情報株式会社)からは代表取締役社長の秋田とエンジニアの石野が参加しています。

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本記事では、Google Cloude Next ‘25のキーノートの内容からGoogle Workspaceに関連する話題をピックアップして解説します。今年は一体どのようなサプライズが発表されたのでしょうか。

※ Cloud Next '25の裏で公開されたGoogle Workspaceの最新情報についても、記事の中に取り込んでいます。

ワークフロー自動化の新時代?Google Workspace Flowsとは何か

多くの組織では、承認依頼の追跡、スプレッドシートへの手動更新、文書からの情報検索といった定型的ながら複数ステップにわたる作業が、従業員の貴重な時間を奪っています 。これらの作業は、単なるトリガーベースの従来の自動化ツールでは対応が難しく、文脈の理解やある程度の推論が必要とされるため、生産性のボトルネックとなりがちです 。  

Google Workspace Flowsはエージェント型AIツール

この課題に対応するため、GoogleはNext '25で「Google Workspace Flows」を発表しました 。これは、AIを活用して複雑な複数ステップのプロセスを自動化するために設計された、新しい「エージェント型」AIツールです 。Flowsの最大の特徴は、単なる定型作業の自動化にとどまらず、AIが自ら調査、分析、コンテンツ生成を行う能力を持つ点にあります 。ユーザーは、複雑なコーディングやロジック構成を行うことなく、実現したいワークフローを自然言語で記述するだけで、Flowsがロジック駆動のフローを設計・構築してくれます 。さらに、Google Drive内のファイルを参照して文脈を理解することも可能です 。 

Google Workspace Flowsデモ動画はこちら。

自動化されたワークフロー内にGemsを組み込むことができる

Workspace Flowsの中核をなすのが「Gems」と呼ばれる機能です 。Gemsは、Geminiを使用してユーザーが構築できるカスタマイズ可能なAIエージェントであり、Flows内の特定の専門タスクを処理するために設計されています 。ユーザーは既存のテンプレートに基づいて構築することも 、独自のGemを作成することも可能です 。Gemsを使用することで、繰り返し行うタスクに対して詳細なプロンプト指示を保存し、時間を節約できます 。将来的にはファイルアップロードによるコンテキスト付与も可能になる見込みで 、これによりGemはさらに強力な専門エージェントとして機能することが期待されます。

Google Workspace flowsによって私たちの業務は大きく変わる

FlowsとGemsの登場は、単なる機能追加以上の意味を持ちます。これらは、生産性スイートの中核に「エージェント型AI」を導入する大きな一歩であり、AIが受動的な支援を提供するだけでなく、能動的にタスクを実行する未来を示唆しています。従来のAI機能がメール作成の支援(Help me write)や提案(Smart Compose)に留まっていたのに対し、FlowsとGemsは、メール送信後の承認プロセス全体を管理するなど、エンドツーエンドのプロセス所有権をAIが担う可能性を開きます。これは、AIエージェントがより自律的に動作する業界全体のトレンドとも合致しています。

また、カスタマイズ可能なGemsが、ユーザー提供のデータやコンテキスト(将来的にはファイルアップロード経由)を活用できるようになることは 、非常にパーソナライズされた、特定の業務領域に特化した自動化への道を開きます。一方で、これは組織内でのデータガバナンスの確立や、効果的なGemを作成・管理するためのプロンプトエンジニアリング能力の必要性といった、新たな運用上の考慮事項も提起します。強力な自動化を実現するためには、これらの新しいスキルセットとガバナンス体制の整備が不可欠となるでしょう。

GoogleドキュメントのAI機能がさらに充実!

Google Docsには、コンテンツとの関わり方を変える可能性を秘めた2つの主要なAI機能が導入されます。

Googleドキュメントが音声機能をサポート!

NotebookLMで好評を得た音声概要機能に着想を得て 、Google Docsに音声機能が直接統合されます。これにより、ユーザーはドキュメント全体の完全な音声版を作成したり、主要なハイライトをまとめたポッドキャスト形式の概要を聞いたりできるようになります 。 プレゼンテーションスクリプトを読み上げさせて不自然な言い回しを見つける、通勤中に長文ドキュメントの要点を把握する、視覚障害を持つユーザーのアクセシビリティ向上など、様々なユースケースで利用可能です。今後数週間以内にアルファ版として提供開始予定です 。  

AIによるライティングコーチ「Help me refine」とは?

「Help me refine」は、単なるテキスト生成や書き換えを超えた、AIによる「ライティングコーチ」機能です。文章を単に修正するのではなく、論点の強化、構成の改善、要点の明確化、書式の一貫性確保などについて、思慮深い提案を行います 。目標はドキュメントの修正だけでなく、ユーザーが長期的に、より効果的なコミュニケーターになるのを支援することです 。その機能性は、Grammarlyのような既存のライティング支援サービスを想起させます。ドキュメントの質を向上させると同時に、ユーザー自身のライティングスキル向上を促します 。特に、圧倒されがちなタスクへの着手支援や、適切なトーンでの文章作成といった課題に対応します 。今四半期後半にアルファ版として提供開始予定です 。  


これらのドキュメントの新機能は、GoogleがAI支援を単なるテキスト生成から、より高度な品質向上、効果測定、そしてマルチモーダルなコンテンツ利用へと進化させていることを示しています。"Help me refine"は、AIが文章の「質」に踏み込むことを示し、Audio機能はテキスト以外の方法での情報アクセスを可能にします。これは、AIがコミュニケーションの速度だけでなく、その内容の深さやアクセシビリティ向上にも貢献し始めていることを意味しています。

Google Vidsも動画生成の機能を強化!

昨年発表されたAI搭載の動画作成ツールGoogle Vidsも、Googleの最先端AIモデルによって強化されます。

Google VidsがVeo 2モデルをサポート

Vidsは、Googleの高度な動画生成モデル「Veo 2」を搭載するようにアップグレードされます 。Veo 2は、Vertex AIで利用可能なGoogleの主要な生成メディアモデルの一つとして位置づけられています 。

ユーザーは直接、Vidsアプリ内にて高品質でオリジナリティのある、リアルな動画クリップを生成できるようになります。多様なスタイルに対応し、特定のポイントを説明したり、動画に視覚的な魅力を加えたりするための具体的なショットを簡単に作成できます 。 複雑な編集スキルがなくても、誰でも簡単にオリジナルの動画コンテンツを生成できるようになり、動画作成のハードルを大幅に下げます。マーケティング資料、トレーニング動画、社内コミュニケーションなど、様々な用途での活用が期待されます。今後数週間以内にアルファ版の顧客向けに展開される予定です。  


VidsへのVeo 2のような最先端モデルの迅速な統合は、Googleが基礎研究の成果を実用的なビジネスアプリケーションへと素早く展開する能力と意志を持っていることの証です。これにより、専門的なスキルを持たないビジネスユーザーでも、最新のAI技術を活用して魅力的な動画コンテンツを作成できるようになり、企業コミュニケーションの可能性を広げます。

Googleスプレッドシートはデータ分析をAIで強化!

データ分析を誰もが利用可能に! Googleスプレッドシート「Help me analyze」とは

データは現代ビジネスの生命線ですが、その分析はしばしばスプレッドシートの専門家やデータアナリストに限られがちです。多くの従業員は「データの海に溺れ」、数字の裏に隠されたストーリーを見つけ出すのに苦労しています 。結果として、データに基づいた意思決定プロセスが遅れることも少なくありません 。  
このギャップを埋めるために、GoogleはGoogle Sheetsに「Help me analyze」という新機能を導入します 。これは、スプレッドシートに組み込まれた、オンデマンドで利用可能なAIアナリストと表現できます 。具体的には、以下の機能があります。

  • データ分析の開始を支援するためのガイダンスを提供 
  • 見過ごされがちな興味深い傾向やパターンを指摘  
  • より深い分析のための次のステップを提案
  • データを可視化するための、明確でインタラクティブなグラフを自動生成

利点としては、データ分析の民主化があるでしょう。スプレッドシートの専門知識がないチームメンバーでも、データから強力な洞察を得られるようになります。今年後半にスプレッドシートに搭載される予定です 。なお、現時点ではアルファ版やベータ版に関する具体的な言及はありません 。  
「Help me analyze」の導入は、組織内のデータリテラシーの格差を解消し、より広範な従業員が直接データに関与することを促進する重要な一歩です。専門家でなくてもデータ探索や解釈が可能になることで、組織全体でデータに基づいた意思決定が迅速化され、データ活用文化の醸成につながる可能性があります。これは単なる効率化を超え、組織の意思決定の質そのものを向上させる潜在力をもっています。

キーノートのまとめ

AIと共に進化する働き方 Google Cloud Next '25のキーノートは、AIが私たちの働き方を根本から変えつつあることを改めて強く印象づけるイベントでした。とくにGoogle Workspaceに関しては、単なる機能追加にとどまらない、AIを核とした未来の働き方への明確なビジョンが示されました。 今回、発表された主要なアップデートを振り返ると、 GoogleがAIを単なる補助ツールではなく、日々の業務に深く統合された「協働パートナー」として位置づけていることを示しています 。


そして、その強力なAI機能を特別な追加費用なしで標準プランに含めるという決定は、AIによる生産性向上とイノベーションの恩恵を、あらゆる規模の企業が享受できるようにするというGoogleの強い意志の表れです。 若手リーダー層におけるAIの高い利用率は、これが一過性のトレンドではなく、働き方の世代交代を伴う大きな変化であることを示唆しています。
AIが定型的な認知タスクを肩代わりすることで、人間はより戦略的で創造的な業務に集中できるようになり 、ひいては従業員の役割そのものが進化していく可能性があります。今後は、AIを効果的に活用するためのプロンプトエンジニアリング能力や、AIが出力した結果を批判的に評価し、戦略的に活用する能力の重要性が増していくでしょう。 


Googleは今後もWorkspaceへのAI機能の統合と価値提供を継続していくと述べており 、AIと共に進化する働き方の未来から目が離せません。Next '25で示されたビジョンは、AIが私たちの働き方をより効率的で、創造的で、そして人間らしいものへと変えていく可能性を力強く示唆しています。 



森田 嶺
森田 嶺
大学卒業後、 AWS や Google Cloud 等、主にクラウドを基盤とした新規サービス開発の経験を経て、YOSHIDUMIに入社。Google ドライブ拡張サービス「Cmosy」「共有ドライブマネージャー」等、 Google Cloud を活用した自社サービスの開発に従事。現在、 Google 等が提供する生成AIを活用したサービスを開発中。
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