「Create a document」はどんな機能?
数年前の私たちは、新規ドキュメント作成時には、まず空白のページに向き合い、構成を考え、文章を書き始めるというプロセスが必要でした。この機能は、まるで魔法のように、ユーザーが入力した簡単な指示(プロンプト)に基づいて、ゼロから本格的なフォーマットの整ったドキュメントを瞬時に生成することができます。Googleドキュメントに搭載されたGeminiのサイドパネル機能は、テキストを生成し、ドキュメント上に差し込むことができますが、この機能はドキュメントの内容そのものを作成してしまう機能です。

日本語にはまだ対応していない(2025年3月24日現在)
Googleドキュメントについては、現在Geminiのサイドパネルによる操作が可能ですが、「Create a document」機能については、まだ日本語に対応していません(2025年3月24日現在)。つまり、Googleアカウントの言語設定が「日本語」になっている場合は、この機能は利用できません。逆に言えば、言語設定を「英語」にすれば使える機能になりますので、今すぐ利用したい場合は、コチラから言語設定を「英語」に変更してください。
Googleアカウントの言語設定を変更する詳しい手順は以下の通りです。
- Googleアカウントにアクセス
- 左側のメニューバーから「個人情報」をクリック
- 「ウェブ向けの全般設定」セクションにある「言語」をクリック
- 優先言語の「日本語」の横にある鉛筆マークをクリック
- 「English」を選択し、さらに地域として「United States」を選択して、「保存」をクリック

Google Workspaceユーザーにおける「Create a document」の利用条件
前述した通り、本機能は日本語に対応していないため、Googleアカウントの言語設定を「英語」にする必要がありますが、大前提として、この機能はGoogle WorkspaceのBusiness Standard以上に提供される機能になります。ですので、まとめると、以下が「Create a document」の利用条件になります。
- Business Standardエディション以上の契約
- 言語設定を「英語」にする
Googleドライブ上のアイテムをベースに資料を作成できる
この機能の特筆すべき点は、ユーザーが既存のGoogleドライブ上のアイテムを参照できることです。プロンプト内で「@ ファイル名」という形式で指示することで、AIは指定されたファイルの内容を理解し、それを基に新しいドキュメントを作成することができます。これは、単にAIが一般的な知識に基づいて文章を生成するだけでなく、ユーザー自身の持つ情報や文脈を理解した上で、よりパーソナライズされたドキュメント作成を可能にする画期的な機能と言えます。

資料の体裁を整える手間を大幅に削減できる
生成されるドキュメントは、見出し、本文、リストなど、適切なスタイルでフォーマットされているため、後から体裁を整える手間が省けます。さらに、カバー画像やインライン画像が自動的に挿入される場合もあり、視覚的に訴求力の高いドキュメントを容易に作成できます。

スターター向けプロンプトによって機能への理解を深めることができる
また、一般的なドキュメントのユースケースに対応したスタータープロンプトも用意されているため、どのようなプロンプトを入力すれば良いか迷うことなく、すぐに機能を試すことができます 。このように、「Create a document」機能は、アイデアの具現化を迅速に進めたいユーザーにとって、非常に強力な武器となることは間違いありません。

「Create a document」機能の活用例
「Create a document」機能は、様々な場面で驚くほどの便利さを発揮します。ここでは、具体的なドキュメントの種類を例に挙げながら、その活用方法を紹介します。
例1. とある企業のマーケティング担当者が企画書を作りたい場合
とある企業のマーケティング担当者が新製品の発売計画を立てる際に、この機能を活用できます。例えば、「新しいコーヒーフレーバーの発売を支援するマーケティング計画を作成してください。担当者、成果物、スケジュールを含め、さらに様々なな種類のコーヒーを示すカバー画像を作成してください」といったプロンプトを入力することで、計画の骨子となるドキュメントを迅速に作成できます。
例2. チームリーダーがチーム目標を共有するための文書を作りたい場合
企業のチームリーダーがチームの目標を共有するための概要文書を作成する場合、ドライブ上に存在する別の資料をベースとして、新たな文書を生成することができます。過去の資産である会議の議事録など既存の情報を活用しながら、チームを鼓舞するような文書を作成できます。
例3. 顧客との打ち合わせを控えた営業担当の場合
「[顧客との打ち合わせメモ - 2024年11月30日]に記載された成果物を使用して、新しいクライアント向けの提案書を作成してください。作業範囲、価格設定、スケジュールを概説し、カバー画像とインライン画像を作成してください」といったプロンプトで、顧客のニーズに合わせた提案書を効率的に作成できます。
上記以外にも、「Create a document」機能は、以下のような様々な種類のドキュメント作成に役立ちます。
- ブログ記事
- プレスリリース
- 企画書
- プロジェクトトラッカー
- ブレインストーミング文書
- キャンペーンの企画
- 旅行の旅程
- 製品ロードマップ
- イベントの準備チェックリスト
- 第1四半期と第2四半期の空白の財務報告書テンプレート
- ベビーシッターへの詳細な指示
これらの例からわかるように、「Create a document」機能は、ビジネスシーンだけでなく、個人の日常生活においても、様々なドキュメント作成のニーズに対応できる非常に汎用性の高いツールであると言えます。
「Create a document」機能の利用手順
この革新的な「Create a document」機能を実際に利用するための手順は、驚くほど簡単です。ここでは、その具体的な操作方法をステップごとに詳しく解説します。
新規でGoogleドキュメントを開く
まず、Googleドキュメントで新しい空白のドキュメントを開きます。
「Create a document」をクリックする
新しいドキュメントを開いた際に、画面上部に「Create a document」というボタンが表示されるので、それを直接クリックします。

プロンプトの入力
「Create a document」ウィンドウが開いたら、いよいよプロンプトを入力します。このウィンドウ内のテキスト入力欄に、作成したいドキュメントの内容を具体的に記述します 。より良い結果を得るためには、プロンプトの質が非常に重要です。例えば、「健康志向のスーパーフードに関するブログ記事を作成してください」というシンプルな指示だけでなく、「ミレニアル世代の読者向けに、各ストーリーに関連するイラストを含めて、健康志向のスーパーフードに関するブログ記事を作成してください」のように、ターゲット読者や含めるべき要素などを具体的に指示することで、よりユーザーの意図に沿ったドキュメントが生成される可能性が向上します。

参照ファイルの指定(オプション)
既存のGoogleドライブ内のファイルの内容を参照したい場合は、プロンプト内で「@」記号に続けてファイル名を入力します 。例えば、「@ 顧客会議議事録」と入力することで、AIはその議事録の内容を理解し、新しいドキュメントの作成に役立てることができます。

プロンプトの送信
プロンプトを入力し終えたら、「Create」ボタンをクリックします 。すると、Geminiは入力されたプロンプトと、指定された関連ファイルに基づいて、ドキュメントの生成を開始します。

生成されたドキュメントの確認
生成されたドキュメントは、画面に表示されるので、その内容を確認します。最初のドラフトが必ずしも完璧であるとは限りません。もし期待通りの結果が得られなかったり、改善の余地があると感じたりした場合は、さらに具体的な指示を追加したフォローアッププロンプトを入力し、再度生成を試みることができます 。この反復的なプロセスを通じて、より理想に近いドキュメントを作り上げていくことができます。生成されたドキュメントは、通常のGoogleドキュメントと同様に編集可能なので、必要に応じてテキストの修正や書式設定の変更などを行うことができます。

まとめ
本記事では、Gemini in Googleドキュメントの革新的な機能である「Create a document」について、その概要、利用手順、活用例、そして気になる日本語対応の現状について詳しく解説しました。
「Create a document」機能は、プロンプトを入力するだけで、本格的なフォーマットの整ったドキュメントを迅速に生成できるという点で、従来のドキュメント作成の概念を大きく変える可能性を秘めています。特に、既存のGoogleドライブのアイテムを参照できる機能は、ユーザー自身の情報に基づいた、よりパーソナライズされたドキュメント作成を可能にする強力な特徴です。カバー画像やインライン画像の自動生成機能も、視覚的に訴求力の高いドキュメントを容易に作成できるという点で、大きなメリットと言えるでしょう。現時点では、残念ながら「Create a document」機能は英語のみの対応となっていますが、他のGemini機能やGoogle Workspace全体の多言語対応の状況を見ると、近い将来、日本語での利用が可能になることが期待されます。それまでの間、英語での利用に抵抗がないユーザーは、Googleアカウントの言語設定を一時的に英語に変更することで、この先進的な機能を体験することができます。
今後、この機能がさらに進化し、日本語を含むより多くの言語に対応することで、より多くのユーザーがドキュメント作成の効率性と創造性を飛躍的に向上させることができるでしょう。また、現在はまだサポートされていないウェブ検索結果の組み込みなど、さらなる機能拡張も期待されます。もしあなたがGoogle WorkspaceのBusiness Standardエディション以上のユーザーであるならば、ぜひ一度、「Create a document」機能を試してみて、未来のドキュメント作成を体験してみてください。
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