Googleドキュメントが大幅にグレードアップ
Google Workspace といえば Microsoft Office の互換サービスというイメージを持たれていたかもしれません。
しかし、今回のアップデートでは Google Workspace の共同編集性をよりいっそう推し進め、 クラウド型オールインワン情報共有ツール(Notionが近いかもしれません)として進化を遂げようとしています。
以下では Google ドキュメントのアップグレードを中心に、Smart Canvas による Google Workspace の新しい機能について解説します。
よりスマートなプロジェクト管理を実現するスマートチップ【Google ドキュメント】
Google ドキュメントのアップデートはおもに以下の 3 つです。
上記の機能を組み合わせることで、ドキュメント上でより多彩で洗練されたプロジェクトやタスク管理ができるようになります。
スマートチップ
Smart Canvas の目玉であるスマートチップは Google ドキュメント内で「@」を使うことで、以下の要素を AI によりサジェストして、様々なGoogle Workspace 内のデータを引用するリンクを作成できます。
スマートチップにより埋め込まれたドキュメントリンクは、新しいタブを開かずにプレビューからすばやく確認できます。
スマーチップによってプレビューされたウィンドウでは、以下のようなアクションも可能です。
- プレビューサイズの変更
- 新規タブで開く
- URLのコピー
スマートチップは 2021 年 7 月現在、ドキュメント上では既に利用可能で、今後スプレッドシート・スライドにも導入される予定です。
多彩なプロジェクトテンプレートとページレス形式
出典元:Google Keynote (Google I/O ‘21) – American Sign Language
Smart Canvas では、以下のようなリッチな機能を搭載したテンプレートが用意されます。
- Meeting notes(記事録)
- Project roadmap(プロジェクトロードマップ)
- Brainstorming(ブレインストーミング)
例えば、ブレインストーミングのテンプレートは以下のようになっており、フォーマットに沿って入力していくだけで必要な情報が揃い、会議の円滑な進行を助けてくれるでしょう。
出典元:Google Keynote (Google I/O ‘21) – American Sign Language
テンプレートとスマートチップを活用することで、人・情報・イベントのシームレスな連携が可能になります。また、Google ドキュメントにはページレス形式が採用され、一枚の縦長ドキュメントとして閲覧・編集が可能になります。
ドキュメントをディスプレイやスマートフォンで閲覧することが多くなっている状況を考慮した、視認性が向上するアップデートです。
もちろん、印刷・PDF変換の場合はページ形式に戻して編集可能。クラウド上での連携・共同編集性の高さなど、Microsoft Word とは違う方向性を打ち出したアップデートになるでしょう。
修正候補表示の進化
出典元:Google Keynote (Google I/O ‘21) – American Sign Language
Google Google ドキュメントの修正候補表示では、ジェンダーに配慮したアップデートが発表されました。
デモでは「Chairman」という単語に対し「Chairperson」という修正候補が表示されています。
タイムラインビューでプロジェクト管理を一元化【Google スプレッドシート】
出典元:Google Workspace の活用でコラボレーションを変革 | Google Cloud Blog
Smart Canvas のもうひとつの目玉は Google スプレッドシートのタイムラインビューです。
タイムラインビューを使うと、キャンペーンやイベントに関する情報を整理することができ、いわゆるガントチャートのような表示に切り替えることができます。
タイムラインビューを使うことで、タスク管理ツールを使わずともプロジェクトの進行管理が行えるようになります。表計算ソフトの枠を超えたアップデートといえるでしょう。
Web会議の開始もドキュメントからできるように【Google Meet】
Smart Canvas 関連で、ビデオ通話ツール Google Meet では、連携機能を含む以下のアップデートが発表されました。
- Google ドキュメントなどへの埋め込み
- ビデオ通話アプリとしての性能向上
Google ドキュメントなどへの埋め込み
出典元:Google Workspace の活用でコラボレーションを変革 | Google Cloud Blog
Smart Canvas アップデートにより、以下のアプリケーションに Google Meet が埋め込まれます。
- Google ドキュメント
- Google スプレッドシート
- Google スライド
この機能により、別ウィンドウでの Google Meet の立ち上げや Zoom などの起動や配置が不要になり、ビデオ通話しながらの共同編集や会議がより快適になります。
ちなみに Google Meet の性能も向上
出典元:Google Keynote (Google I/O ‘21) – American Sign Language – YouTube
Google Meet では他にも以下のような基本性能の向上や便利機能の追加が発表されました。
- コンパニオンモード:1つのカメラに複数人映っている場合に AI で判別して個別に表示
- 映像性能の向上:明るさや倍率を AI が自動調整
- ノイズキャンセリング機能の向上:音声がよりクリアに
- ライブキャプション機能:5 ヶ国語に対応したリアルタイム自動翻訳(スペイン語・フランス語・ポルトガル語・ドイツ語・英語)で、2021 年後半に日本語対応予定
チャットルーム内の共同編集にGoogleスライドも対応【Google スライド】
Google チャットルームの名称が Google スペースに変更になると同時に、スペース(チャットルーム)内で編集可能なサービスに Google スライドが加わります。
これまでチャットルーム内での編集は Google ドキュメントと Google スプレッドシートのみ対応してましたが、Google スライドも対応することで活用の幅が広がるでしょう。
Google Workspace 今後の進化に期待
本記事は Google が発表した Google Workspace の大幅アップデート「Smart Canvas」 について解説しました。
Smart Canvas では Google Workspace が目指す「共同編集を軸としたチームでのコラボレーション」という方向性が大きく示されました。
今回のアップデートにより、Google Workspace を使った日々の業務がより効率化し、ビジネスの本質的な部分に集中することができるようになるかもしれません。
今後のアップデートの実装や、実際にビジネスにどのようなインパクトがあるのか目が離せません。