森田 嶺

Gemini は Business よりも Enterprise プランをオススメしたい理由

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私のビジネスにおけるワークスタイルはこの1年間で大きく変わりました。私が1年前に行っていた業務のほとんどが、現在は生成AIが生み出す価値に置き換わっています。資料やメール、記事コンテンツの作成、企画書やプログラミングコードの実装プロセス、あらゆる業務がAIによって、成り立っています。それだけでなく、プライベートにおける課題(妻への定期的な贈り物、旅行の計画)においても、生成AIが生み出すアイディアの恩恵を受けています。

私が所属する吉積情報株式会社のビジネス、私たちがお客様に提供する価値は、 Google Workspae によって成り立っていると言っても過言ではありません。私たち自身の業務は Google Workspace によって成り立っており、そこで受ける恩恵があるからこそ、私たち自身が自信を持ってお客様に対して Google Workspace の導入支援を行うことができます。

そして、 Google Workspace は、2023年に革新的なアップデートを実施しました。それこそが「 Gemini for Google Workspace 」のリリースです。

Gemini for Google Workspace はあなたのためのAIアシスタント

Gemini for Google Workspace を一言で表現すると、「あなたの業務を支援するAIアシスタント」です。 Google Workspace のアドオン機能であるため、 Google Workspace のライセンスとは別で費用が発生することになります。具体的な機能に関しては、例えば、以下のようなユースケース(一例)で、 Gemini はあなたの業務をサポートしてくれます。

  • 提案書の作成
  • 文書の校正
  • メール文の作成
  • ブログ記事の作成
  • タスク一覧表の作成
  • 競合分析
  • 市場調査
  • 企画の立案
  • メルマガの作成
  • 文書の要約
  • アンケート結果の集計と分析
  • 会議内容の要約

注意すべきポイントとしては、これは他の類似サービスも同様ですが、AIアシスタントが行ってくれるのは、あくまで支援であり、上記ユースケースの業務を全てAIが自動化するわけではなく、出力結果についても完全な信頼性があるわけではありません。成果物に対して、最終的にチェック・修正するのはユーザー自身になります。それを踏まえたとしても、 Gemini for Google Workspace によって齎される業務効率化は使う・使わないで大きな違いを生み出します。

Gemini Business より Gemini Enterprise をオススメしたい理由

次に2つのプランの違いについて説明します。まずは、2つのプランの違いの全体像を理解しましょう。以下は、 Business プランと Enterprise の機能比較表になります。この一覧からもわかる通り、 Gemini Business では、各ツール( Gmail / Docs / Sheets / Slide )に組み込まれた Gemini や Gemini アプリ(旧 Bard )といった基本的な機能は利用できますが、いくつかの機能はサポートしていません。

項目

機能概要

Gemini Business

Gemini Enterprise

基本機能

費用
※年契約の場合の月額費用

¥2,260 / 月 /ユーザー

¥3,400 / 月 /ユーザー

Gemini for Google Workspace 基本機能
(旧Duet AI for Google Workspace アドオンによる Mail / Docs / Sheets / Slide の生成AI 機能)

利用回数制限

1,000回 / ユーザー /月

Gemini アプリ(企業向け旧Bard)
※送信プロンプトの非学習を保証

機密保持のためのAIによる自動ラベル付け(DLP連携)

 

Meet

Meet会議の背景のAIによる生成

 

Studio Look / Sound / Lighting

 

リアルタイム翻訳
キャプション

 

Meet会議の議事録作成機能(Take note for me アルファ版)

 

言語自動認識による翻訳(Translate for Me)

 

出席できない会議にコメント、質問を残しておく(Attend for Me)

 

Meetハードウェアなし、PCのみでクリアな会議。
会議室内の他の参加者のオーディオフィードバック(反響)削除

 

画面共有時の電子透かし。不正コピーの追跡、抑止

 

出席できない会議にコメント、質問を残しておく

 

Chat

会話の要約

 

会話の自動翻訳

 

無制限に Gemini を利用することが可能

Gemini Business には、 Gemini の利用に1,000回/ユーザー/月という制限が発生しますが、 Gemini Enterprise では発生しません。この制限値はかなり多いと考える方も多いとは思うのですが(私自身も以前は十分多いと考えていました)、おそらく足りない数値になってくると考えています。それは、 Gemini のサイドパネル機能のリリースです。この機能の詳細については、以下の動画をご参考ください。

※以下動画の51分付近

デモ動画を見てもらえればわかる通り、この機能を利用すれば、ユーザーが権限保持する既存ファイルの内容を加工して、新たな文書生成を行うことができます。また、別ファイルの内容をマージして、自動アップデートすることも可能です。 業務上、 Google ドライブ上でよくファイル作成・編集するユーザー(弊社で言うと、特に営業職のメンバー)にとっては、なくてはならない機能です。
しかしながら、これはサイドパネル機能の使い方の一例です。それ以外にも多くの機能が備わっており、日々 Google ドライブ上で業務を行うユーザーにとっては、月1,000回という数値は多くはないと考えています。

サイドパネル機能の詳細は「 Google Workspaceに革命!Gemini 1.5 Pro搭載サイドパネルで仕事が激変」の記事をご参考ください。

オンライン会議ツール「 Meet 」向けの Gemini 機能

Enterprise をオススメしたい2つ目の理由は、オンライン会議ツール「 Google Meet 」に搭載される Gemini 機能です。機能の詳細は以下動画をご確認ください。

※以下動画の55分付近

扱う言語が異なる複数のユーザーがオンライン会議をするときに、 Gemini はリアルタイムで自動翻訳を実施し、ユーザー間の言語の壁を取り除きます。また、会議に遅れてきたユーザーに、ここまでの会議の内容を要約してユーザーに伝えてくれます。現状の Google Meet でも十分強力なツールですが、 Gemini が加わることで、さらなる生産性向上を期待できます。

Gemini Enterprise は Gemini Business の上位互換版

Gemini Business で利用できる機能は Gemini Enterprise でも利用できますし、Enterprise ではそれに加えて、 Meet や Chat といった機能もサポートしています。プラン設計上、 Gemini Enterprise は Gemini Business の上位互換版のプランになることは当たり前のことですが、私が Gemini Enterprise を利用して感じるのは、2つのプランには機能上で大きな違いがあると感じています。無制限の実行回数と日々の業務で欠かせないオンライン会議ツールにおけるAI機能は、私たちユーザーに大きな恩恵をもたらすと考えています。

日本語化対応された場合のインパクトは絶大

現状、 Gemini for Google Workspace で日本語化されているのは、 Gemini アプリのみになります。ただ、去年の Google Cloud Next Tokyo で Gemini for Google Workspace が2024年に日本語化されることが発表されているため、いつ日本語化がリリースされてもおかしくありません。日本市場においては、日本語化された場合、今以上に Gemini の有用性に注目が集まるのではないでしょうか。

まずは Gemini Business から始めるのもOK

ここまで説明してきた通り、 Gemini の Enterprise プランは、Business プランよりも多くの利点を提供します。特に日々の業務での利用頻度の高い Google Meet 向けの機能であったり、 Google ドライブ上の存在する企業の資産を活用した文書作成や要約機能は、ユーザーに爆発的な生産性をもたらします。Gemini Enterprise には企業が持続的に成長し、競争力を維持するために必要な要素が多く揃っています。企業の規模やニーズに応じて最適なプランを選ぶことが重要ですが、長期的な視点で見ると、Enterprise プランがより効果的な選択になると考えています。

ただ、ここまで Enterprise がオススメであることをお伝えしてきましたが、 Gemini Business でも十分な生産性向上が期待できます。まずは、 Business から導入を始め、費用対効果を測定していくのもステップとしては良いのではないでしょうか。

森田 嶺
森田 嶺
大学卒業後、 AWS や Google Cloud 等、主にクラウドを基盤とした新規サービス開発の経験を経て、YOSHIDUMIに入社。Google ドライブ拡張サービス「Cmosy」「共有ドライブマネージャー」等、 Google Cloud を活用した自社サービスの開発に従事。現在、 Google 等が提供する生成AIを活用したサービスを開発中。
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